太りにくくなる「理想の睡眠時間」は？

太りにくくなる「理想の睡眠時間」は？

私たちの体が太りにくくなる「理想の睡眠時間」とは一体どのくらいなのでしょうか？
残念ながらまだ解明されていない部分が数多くあるものの、米国ハーバード公衆衛生大学院は「7～8時間寝ている人に比べて、睡眠時間が短い人は、より肥満になるリスクが高いというデータが多数ある」と公式に発表しています。

そのほか、米国ウィスコンシン大学は2004年に発表した論文で「7.7時間（7時間42分）の睡眠時間が一番太りにくい」と時間をピンポイントで指定して結論づけています。
いずれにしても、「7～8時間」がダイエットおける 「理想の睡眠時間」 であると見る研究者が今のところ大勢を占めているようです。

「死亡リスク」から見た最適な睡眠時間は？

ここではもう一つの指標として「死亡リスク」から見た最適な睡眠時間を探ってみたいと思います。

2002年、最適な睡眠時間を探るためにカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが大規模な実験を行いました。
実験では110万人超の男女を約6年間追跡調査し、睡眠時間と死亡リスクと相関を調査しました。
その結果、最も死亡率が低く長寿だったのは、睡眠時間が約7時間（6.5時間以上7.5時間未満）の人たちだったことがわかったのです。
また、睡眠時間と死亡リスクの間には7時間を底にして、下図のようなU字カーブがみられました。短い睡眠が健康にとってリスクというのは理解できるかもしれませんが、8時間を超える睡眠時間の人にも死亡リスクが上昇するという結果がでています。
※死亡リスクは睡眠時間7時間を1とした時の相対リスクで表現。

睡眠不足の蓄積が肥満だけでなく、がん・糖尿病や高血圧などの生活習慣病・うつ病などの精神疾患・認知機能の障害など、さまざまな疾病の発症リスクを高めていることが各方面の研究結果から明らかになってきています。
しかし、単純に睡眠時間が長ければ良いというわけでもないようです。

睡眠時間は年齢によっても異なる

よく年を取るにつれて早寝早起きになり、長時間眠れなくなったという話を聞きますが、これは加齢に伴って必要とする睡眠時間が少なくなったというのが事実のようです。成人の場合、個人差はあるものの6~7時間前後の睡眠時間が目安です。

さらに、加齢とともに睡眠も浅くなるようです。
下図は睡眠脳波から得られた年齢による睡眠変数の変動ですが 、加齢にともない深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えているのが見て取れます。そのため尿意やちょっとした物音などで夜中に何度も目が覚めてしまうようになります。よく若い頃に比べてよく眠れなくなったということを経験するかもしれませんが、実は加齢にともなって体が必要とする睡眠が変化してきているのです。